網膜静脈閉塞症に対するレーザー治療について
レーザー網膜光凝固術を受けられる方へ
  1. 網膜静脈閉塞症とは?
    網膜の血管には動脈と静脈がありますが、そのうちの静脈が血栓などでつまってしまい眼底出血が起こります。つまる血管の部位により、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症と呼ばれます。症例によってはこのまま放置すると、網膜の血液の循環が悪くなり網膜の酸素不足が起こり、黄斑浮腫・硝子体出血(眼球内部の出血)・緑内障が起こり高度の視力低下をきたすことがある病気です。
  2. どのような場合にレーザー治療が必要になるのか?
    網膜の静脈がつまっている領域の網膜は循環状態が悪くなり、酸素不足になります。血液の循環が悪いこの状態が続くと網膜の組織が酸素不足に陥り、眼底出血が起こったり、新生血管が発生して硝子体出血にいたります。このような事態にならないように酸素不足の状態にある網膜にレーザー治療を行い、網膜出血や網膜浮腫の吸収促進をはかり、上記の合併症の予防と視機能の維持をする必要があります。
  3. レーザー治療はどのように行われるか?
    散瞳剤点眼にて散瞳して、麻酔の眼薬をしたあとに、レーザー用のコンタクトレンズをつけて行います。多少の痛みを伴う場合がありますが、10分から15分で1回の治療医は終わります。網膜全体に行う場合は症状に応じて、日を空けて通常数回程度に分けて行います。また必要に応じてレーザーを追加する場合があります。レーザー直後は暗く感じて見えにくくなることがありますが、普通は15分程で戻ってきます。ただし、散瞳剤は半日程効いていますので、半日ほど、見えにくい状態は続きます。当日は特に安静の必要はなく日常生活に制限はありません。
  4. レーザー治療の危険性は?
    レーザー治療中に目を急に動かすと、狙ったところにレーザーが照射できずに治療後に視力が落ちたり、視野が狭くなったり、暗く感じることがあります。また、レーザー治療したにもかかわらず病気のいきおいが強いと硝子体出血・緑内障の発生を予防しきれず、硝子体手術が必要になったり、最悪の場合、失明に至ることもあります。しかし、長期的にはレーザー治療を行った方が予後は良いと考えられています。
  5. レーザー治療を受けないとどうなるか?
    網膜静脈閉塞症は酸素不足になっている網膜を放置すると、新生血管(もろくて破れやすい異常な血管)が発生して硝子体出血が起こります。少量の出血であれば吸収されることもありますが、出血の量が多くてなかなか吸収されない場合や出血を繰り返す場合は硝子体手術が必要になります。
    硝子体出血を繰り返していると、増殖性変化に伴なって網膜剥離が発生して失明する危険があります。また、新生血管による緑内障が起これば、眼圧のコントロールが困難なため眼が痛くなったり、最悪の場合、失明する危険があります。