蕁麻疹(じんましん)
どんな病気?
 激しいかゆみとともに、皮膚の一部が赤くなって盛り上がる「膨疹(ぼうしん)」と言う湿疹ができます。 この湿疹は数分から数時間、または半日から一日程度で跡形もなく消えてしまうことが多く、これを「急性蕁麻疹」と呼びます。 約20%の人が、一生のうち一度は「急性蕁麻疹」を経験します。
湿疹が起こってから4週以上にわたって繰り返し続く場合は、「慢性蕁麻疹」と呼びます。
多くの場合は、腹部や腕、足などに湿疹が出るのですが、まれにまぶたや唇、気道や腸の粘膜に腫れが出る場合があります。 これは蕁麻疹の一種で、「血管浮腫(クインケ浮腫ともいう)」と言います。息苦しさや下痢などの消化器症状を起こし、 ひどい場合は呼吸困難を起こして危険な状態になりますので、すぐに病院を受診しましょう。

蕁麻疹には、アレルギー性のものと、 非アレルギー性のものがあります。

■アレルギー性蕁麻疹の原因
  1. 食べ物:魚介類、肉類、卵、乳製品、穀類、野菜、食品添加物
    特に、小麦、ソバ、乳製品、卵、落花生は、五大アレルギー成分といわれています。
  2. 植物・昆虫など:蕁麻(じんま)、ゴム、ハチなど
    蕁麻とは、植物の名前で別名イラクサとも言います。蕁麻の葉に触れたときにあらわれる皮膚症状と、蕁麻疹の症状がよく似ているため、蕁麻疹という病名が付けられました。
  3. 薬剤:抗生物質、解熱鎮痛剤、咳止め薬など
これらに含まれるアレルギーの原因物質が体の中に入り、異物として認識されると、細胞からさまざまな化学物質が放出されます。
その中のヒスタミンという物質により、皮膚が赤く腫れたり、かゆみを感じることになります。
このうち、薬剤が原因で起こるアレルギー性蕁麻疹は、重篤化する危険性がありますので、早めに医師に相談することが重要です。

■非アレルギー性蕁麻疹の原因
  1. 物理的刺激
    摩擦(衣類による摩擦など)、圧迫(バッグの持ち手による圧迫など)、熱さ、寒さ、
    振動(マッサージ器などによる振動など)、日光など
  2. 入浴や運動による発汗など
    血液疾患、膠原病などがある人、心身のストレスの強い人は運動や発汗が刺激となって蕁麻疹になることがあります。
こんな症状があらわれます
膨疹の大きさや形は、直径2〜3mmの円形・楕円形のものから、直径10cm以上で地図のような模様のあるものまで様々です。 こちらに出たかと思うと消え、また別の場所にできたりします。
症状が強い場合は、次々と新しい膨疹ができて範囲が広がることもあります。
多くの場合、強いかゆみを伴いますが、チクチクとした痛みや、焼けるような痛みを感じることもあります。
こんな検査で診断します
視診、患者様とのお話で診断します。
蕁麻疹が出るとき、あるいは出る前の状況を詳しく患者様から聞きます。
アレルギー性蕁麻疹の疑いがある時は、原因物質を特定するために血液検査や皮膚テストを行います。
非アレルギー性蕁麻疹の疑いがある時は、 患者様とのお話によりそのどれに該当するかを確認します。
こんな治療法があります
かゆみがそれほどひどくない場合: 抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などを内服します。
薬を飲むとたいていの場合、数日で症状が治まりますが、 薬をすぐにやめてしまわずに、医師の指示がある間は飲み続け、徐々に減らしていくことが大切です。
激しいかゆみがある場合: 抗炎症作用があり、かゆみをやわらげる作用の強いステロイド外用剤を用います。
掻き壊して化膿してしまった場合には、抗生物質が配合されたステロイド外用剤を使うとよいでしょう。
 蕁麻疹になった時の注意点
  1. できるだけ静かに過ごしましょう。
    かゆい部分を冷たいタオルなどで冷やすとかゆみがマシになります。ただし寒冷蕁麻疹の場合は、冷やしてはいけません。
  2. 摩擦や圧迫、振動などの刺激を与えないようにしましょう。
  3. 血行がよくなることを避けましょう。
    飲酒や、長時間の入浴は血行をよくして、かゆみを増してしまうので、避けましょう。
自分でできる! 「蕁麻疹」の予防法
  1. 蕁麻疹の原因を突きとめて、それを遠ざけることが大事です。
    蕁麻疹の原因は分からないことが多いのですが、できるだけ原因をつきとめるために、 蕁麻疹があらわれるまでの1時間に、何を食べたか、何か薬を飲んだか、どんなことがあったか、よく思い出すことが大切です。
  2. 日頃から規則正しい生活を心がけ、バランスのよい食事を取りましょう。
    過労やストレス、睡眠不足は、じんましんを引き起こす誘因となります。